幼児教育と脳科学

幼児教育と脳の関係を語るにあたり、抑えておかなければならないポイントがあります。まずは、心と脳の関係です。心の捉え方は様々ですが、ここでは知性を心の本体と考えたいと思います。

 

心理学では認知機能と呼ばれ、心ということの認知機能(知性)を指すことが一般的となっています。しかし、認知機能という言葉は硬くやや馴染みにくい印象があるので、知性という言葉に統一して説明をしていきたいと思います。

 

この意味での知性には様々なものがあります。一般的には、知能やIQもその一種に過ぎず、全てではありません。EQとも呼ばれる感情的知性もあるし、スポーツや運動を上手に行うのも知性の一つになります。

 

また性格や理性などを含む、自我も知性の一つだと言えるでしょう。このように知性という一言で、心の本体を言い尽せるし、また幼児教育の目的はそのような多くの知性を豊かに育むことにポイントが置かれています。

 

そして、知性は、脳科学の観点から見ても全て脳の活動、脳内プロセスであるといえるでしょう。なので、幼児教育を含めた全ての教育の場面で、教育とは脳教育であり、脳を豊かに育むことが大切です。知性を豊かに育むこと=脳を豊かに育てることなのです。

 

ここで注意をしなければいけないのが、二元論的な考え、すなわち心と脳は別モノであるという考えで育児や教育を行ってはいけません。二元論等というと、遠い過去に過ぎ去った妄想と捉えがちですが、そんなことはありません。

 

世間を見てみれば、二元論は現在でもかなり広く受け入れられている考えだし、新興宗教や、書店に並ぶ臨死体験、前世、輪廻転生などに関する書籍の多さがこれ物語っています。

 

死後の世界や霊の存在、前世療法、前世占い、輪廻転生などがごく自然に受け入れられているいるのは明白です。二元論を信じるのは個人の自由ですし、二元論的な宗教が人生を充実させることもあることは否定しません。

 

しかし、二元論の考えを教育、特に幼児教育に持ち込んではいけないのです。保育士や幼稚園教諭であれば、これは必ず守るべきでしょう。性格を含めた知性を豊かに育てること、これは誰しもが願うことではないでしょうか。

 

そのためには、まず二元論的な考えを廃して、知性が脳の活動、プロセスであることをきちんと押さえる必要があるのです。そして、知性を支える脳のことを理解することが大切です。

 

ところが、知性を担う脳の仕組みを充分に知らずに、知性の教育を行おうとする傾向が今だに根強い傾向があります。脳科学を取り入れた教育論も最近になってようやく出てきましたが、大抵は断片的な知識に基いており、まだまだ充分だとは言えません。

 

そもそも知性を育てるには、知性のことを知らなければいけません。ところが、不思議なことに、多くの方は知性のことを充分に知らずに、知性の教育を考えている傾向があります。

 

このような状況では、筋道だった子育てや教育が行えるはずがありません。知性の特徴とその実体でもある脳のことをある程度理解したうえで、知性を豊かに育む方法が求められているのです。